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昨年春に来日して「ア・ビガー・バン」ツアーを行ったローリング・ストーンズ(2005年8月に始まったそのツアーは、何と今もなお継続中!)。そのライブの模様がDVDとなって8月8日に発売となります。
値段はアマゾンで7,943円。ちょっと高いな~と思って内容を見ると、DVD4枚組、420分の超フルボリューム!1日ではとても観賞できそうにありません…。

Disc1はテキサスでのライブ、Disc2はリオデジャナイロでのライブ、Disc3は札幌、東京、埼玉、上海、ブエノスアイレスでのライブの抜粋、Disc4はツアーのドキュメンタリー(全米スーパーボウルでのライブも含む)と、見応えたっぷりですね。
それにしても思うのは、ストーンズは何でこんなに人気があるんだろう、ということです。ビートルズと同世代で未だに現役バリバリという“ロックの生きた伝説”であることは確かなのですが、ここまで世界的に支持されるのはなぜでしょうか。
まずはもちろん、楽曲の素晴らしさでしょう。例えば日本でも、ストーンズは確かに誰でも知っているヒット曲が多いのは事実です。でも調べてみてビックリ。ストーンズ史上、日本で最高に売れたアルバムは1986年「ダーティ・ワーク」の10万枚(!)なのです。当然シングルなんて売れていません。しょーもないミリオンセラー歌手が一杯いる(失礼!)日本で、全然売れないのに、なぜ?名前だけは誰でも知ってるけど、乗っている人はほとんどいないロールスロイスみたいなものでしょうか?ちょっとニュアンスが違いますかね…。
社会現象となっているこの人気ですが、どうやら背後には入念なマーケティングに基づくビジネス戦略があるようです。…などと書くと「ロックにごちゃごちゃ理屈をつけるなんて無粋な!」となりますよね。
でもストーンズの場合、マーケティング戦略もかなり飛びぬけたレベルで最高の戦略チームが組織されているようで、少しチェックするだけでも十分に面白く、勉強になります。ストーンズは世界最高峰のビジネスプロジェクトなのです。
アルバムの制作、リリース、ディストリビュート、ライブツアー、著作権・版権の管理、マーチャダイジングなどなど、さまざまなビジネスがストーンズを取り巻いています。その陣頭指揮を執るのが、フロントマンのミック・ジャガー。彼はビジネスプロジェクトの会議をすべて仕切っています。アルバムごとの販促企画、ツアーの企画からチケットの値段設定にまで意見を出し、時には自らライブ会場を押さえたり、ゲストミュージシャンの出演交渉にまで当たるようです。自分で電話したり、直接訪問するようですよ。断りにくいでしょうね~。…断る人はいないか。
また、ツアーなどもスポンサーのサポートこそ受けるものの(日本ツアーではマイクロソフトでした)、アルバムの制作や巨大なセットの構築なども含め、基本的には自分たちの会社「ローリング・ストーンズ・レコード」が資金を調達するようです。スケールは全然違いますが、ある意味インディーズ系バンドでもあるわけです。
今回のDVDを見れば、もちろん理屈抜きにライブを楽しめるほか、ストーンズのビジネス戦略も垣間見ることができるのではないでしょうか。かなり期待できそうです!
最近入ったニュースによると、このツアーは今回のDVDとは別に映画にもなって9月に全米公開。タイトルは「Shine A Light」、監督は何とマーティン・スコセッシ!…世界の巨匠を監督に担ぎ出すとは、やりますねぇ。それだけでも観にいきたくなります。
昨年、ナゴヤドームで行われたライブには私も行ってきました。前から4列目のグッドシートで至福の時間を過ごせましたよ!当時未発表だった入魂(?)のライブレポを公開したいと思います。
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ローリングストーンズ、名古屋初ライブ!
~文句のつけようがない超王道・貫禄のステージ~
(2006.4.5.ナゴヤドーム)
それにしてもチケット代18,000円には躊躇した。それでも今回のツアーは世界水準でいけば日本はかなり安いほうだとか。しかし、ストーンズを名古屋で観る機会は2度とないかもしれないし…。煩悶していたところに知人から奇跡的に前から4列目を入手できたとの連絡があり、即決!
その日は当日券売り場で待ち合わせをしていたのだが、いろんな人間が前を通るので、小さなドラマが見れて面白かった。シーナ&ロケッツやストリートスライダーズが思い切り貧乏になったようなバンドマン。すでに絶滅したと思いきや、どっこい生き永らえていた、Show-Yaのボーカルみたいなロン毛でくるくるパーマの茶髪に、黒レザーの超ミニスカお姐さん(この日限定復活かも)。上下ハデなベロマークのロゴ入りパジャマを着込んだおじさん。演歌コンサートにきたようないでたちで、キンキン声でしゃべり倒しているおばちゃん連中。
若い極貧そうなバンドマンっぽい兄さん2人は、参加席9,000円の当日券が売り切れていることに絶句している。高過ぎるから一旦はあきらめたのだろうが、やはりストーンズはどうしても観たい、といたたまれなくなってやって来たのだろう。くしゃくしゃのお札を出し、13,000円の席を購入すべきか激しく葛藤している。彼らは無事観ることができたのだろうか。
入場するとバカでかいセットに驚愕。まるでマンションのような建物が左右に配置されている。というか、実際この中へ入りコンサートを見学できるチケットもあるのだ。
19時を過ぎたらすぐに客電が消え、場内騒然。平日でまだ客の入りは5割強。早過ぎるのではなかろうか。と思ったら、出てきたのは前座のリッチー・コッツェン。元ミスタービッグのベース、ビリー・シーンを従えた3ピースバンドだ。演奏も歌もうまいのだが、広いドームの客は全然温まらない。1曲終わるたびの拍手は「早く引っ込んでくれ」との懇願であることが理解できていないかのごとく5、6曲プレイ。さすがにダレる。
再び休憩が入り、20時を過ぎていよいよライブがスタート。オープニング映像が流れ、1曲目いきなり「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」! かなり荒っぽい演奏・歌だが当然のように大歓声だ。ついで「イッツ・オンリー・ロックンロール」と、まるでアンコールのような展開。
それにしても全力で歌い、しなやかに踊るミック・ジャガーの動きはスゴい。とてもオレの母親と同い年とは思えぬ強力なエネルギーがみなぎっている(結局このまま最後までこのペースだった!化け物だ)。一体どれほど節制した生活を送っているのだろうか。キース・リチャーズはまるでガイコツの亡霊のように幽玄な雰囲気を漂わせている。ロン・ウッドも年齢を感じさせない元気さ、喉頭ガンで心配されたチャーリー・ワッツのズンドコドラムも健在だ。
3曲目は珍しい80年の「氷のように」。シンプルでライヴ映えする曲だ。そして新曲「Oh No、ノット・ユー・アゲイン」。ニューアルバム「ビガー・バン」中、もっとも威勢のいいナンバーで、新曲を知らないであろう観客も盛り上がっている。
ここでブレイクが入り、ミックがロングコートをまとう。89年のスティール・ホイールズ・ツアーを思い起こすこの衣装は…「ルビー・チューズデー」!日本で人気の高いこのバラッドの歌い出しにひときわ大きな歓声が。
ミックがギターを弾くファンキーな新曲「レイン・フォール・ダウン」(途中、キースはしゃがんで休憩)、比較的新しい「ユー・ガッタ・ミー・ロッキング」(といっても94年)をはさみ「ギミー・シェルター」。コーラスのリサ・フィッシャーがフィーチャリングされ、ミックとのデュエットを聞かせる。特にソロの絶唱には大拍手。この日最もエキサイティングなナンバーといっても過言でない、素晴らしいプレイだった。さらに畳み掛けるように「ダイスを転がせ」。ミックがステージの端から端まで走り回り、客をあおる、あおる。
メンバー紹介があり、キースのコーナーへ。海外ではトイレタイムとも言われているようだが、日本では人気絶大でキースもゴキゲン。はにかみながら「グッド・イブニング!」と妙に慇懃な挨拶で、場内から笑いが漏れる。新曲「虚しい気持ち」と「ハッピー」!演奏・歌ともかなりワイルドなのだが、落語の名人芸を見るようなものなので、ケチをつけるのは無粋というもの。名古屋でキースをこんな間近に観ることのできる幸運に感謝するのみだ。
再びミックがギターを抱えて登場、「ミス・ユー」。ここで演奏ステージそのものが前にせり出し、何とそのままゆっくりドームの真ん中まで移動!何か仕掛けはあるとは思っていたが、予想以上に大掛かりだ。無論、中央付近の観客は大興奮。このコーナーは勢いあるシンプルなナンバー(新曲「ラフ・ジャスティス」、スピーディーにアレンジされた「一人ぼっちの世界」)で盛り上がる。とどめは「ホンキー・トンク・ウイメン」!演奏しながらステージが元に戻る。
興奮の余韻も冷めぬまま「悪魔を憐れむ歌」。キースのギターソロ、荒っぽ過ぎる!さらに嬉しい「黒く塗れ!」の後、いよいよ終盤へ。「スタート・ミー・アップ」「ブラウン・シュガー」と、出し惜しみなしの大サービス。曲終了後もミックはコーラスを客に乞い、こちらも大声で応える。ドームのライブとは思えないほどの一体化だ。
意外に早く再登場したアンコール1曲目は「無情の世界」。それにしても何とライブ映えする曲だろう。最後のコーラス部分では涙が出そうなくらい感動してしまった。それにしても、キースのナンバーを交えてバラッドは全編でわずか3曲…。
そして最後はもうこれしかない、「サティスファクション」!ロック史上に残るあのリフを、目の前でキースが弾いている。最後の曲だというのに、その事実が信じられない。ティーンエイジャーのころから大好きだったストーンズ。感慨ひとしおだ。
最後はステージで4人が肩を組んで挨拶。この日最高の歓声が降り注ぐ。約2時間、全力疾走のステージを終えたとは思えぬミックは、去り際にも相変わらず元気で踊り続けている。60歳を超えたバンドのステージだから、ある程度はひいき目に見なきゃ、なんて思っていたのだが、とんでもない勘違いだった。これほど充実した内容のライブは近年まれにみるほどだ。いつもこれが最後のツアーかと言われるストーンズだが、この分ではあと2、3回は来日するんじゃないだろうか。
文句のつけようがない貫禄のステージだったが、長年のファンとしては80年代以降の名曲ももう少しやってほしかった。「アンダーカヴァー・オブ・ザ・ナイト」「ワン・ヒット」「ハーレム・シャッフル」「ミックスト・エモーションズ」「ラヴ・イズ・ストロング」「エニイバディ・シーン・マイ・ベイビー」とか…。ま、名古屋は初めての場所だから仕方ないか。それにしてもチケット代18,000円は安かった!
2006/4/5 ナゴヤドーム
01 Jumpin' Jack Flash
02 It's Only Rock 'n' Roll(But I Like It)
03 She's So Cold
04 On No, Not You Again
05 Ruby Tuesday
06 Rain Fall Down
07 You Got Me Rocking
08 Gimme Shelter
09 Tumbling Dice
10 This Place Is Empty(Keith)
11 Happy(Keith)
12 Miss You (→B-stage)
13 Rough Justice (B-stage)
14 Get Off Of My Cloud (B-stage)
15 Honky Tonk Women (→Main-stage)
16 Sympathy For The Devil
17 Paint It, Black
18 Start Me Up
19 Brown Sugar
(Encore)
20 You Can't Always Get What You Want
21 (I Can't Get No) Satisfaction
(岡橋秀樹/E-mail:okahashi@pangaea-g.com)
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